整備士の採用が難しい理由|応募を増やす対策と定着のコツ

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整備士の採用が難しい理由|応募を増やす対策と定着のコツ

2026年09月15日 NEW
モビリア総研 整備士の採用が難しい理由|応募を増やす対策と定着のコツ
目次

「求人を出しても整備士からの応募が来ない」「採用してもすぐに辞めてしまう」

整備工場やカーディーラーで採用に関わる方であれば、こうした悩みを抱えることは少なくないでしょう。

整備士の採用が難しい背景には、有効求人倍率の高さや養成施設の入学者減少といった、業界全体の構造的な事情があります。

本記事では、整備士の採用が難しい理由をデータで整理したうえで、求人票の見直し方、応募を増やす採用手法、採用後の定着施策までを解説します。

整備士の採用に関わる100名への独自調査の結果も紹介しますので、自社が次に取るべき打ち手を具体化する参考にしてください。

整備士採用の現状|データで見る人手不足

整備士の採用が難しいのは、自社の努力不足だけが原因ではありません。

まずは公的な統計から、業界全体で何が起きているのかを確認しておきましょう。

押さえておきたい現状は、以下のとおりです。

  • 有効求人倍率|全職種平均との差
  • 整備士人口の高齢化
  • 養成施設の入学者数の減少
  • 技術を身につけたベテランが独立して離職してしまう

それぞれ順番に見ていきましょう。

有効求人倍率|全職種平均との差

有効求人倍率は、求職者1人あたり何件の求人があるかを示す指標で、数値が高いほど採用の難易度が上がります。

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、令和6年度の自動車整備士の有効求人倍率は5.45倍でした。

同じ年度の全職種平均は1.25倍であり、自動車整備士は全職種平均の約4.4倍という突出した水準にあります。

これは求職者1人に対して5件を超える求人がある状態を意味し、企業側には求職者から選ばれる工夫が欠かせません。

区分有効求人倍率(令和6年度)
自動車整備士5.45倍
全職種平均1.25倍

自社の求人だけが選ばれない理由を探す前に、この前提を踏まえた採用設計が求められます。

参考:自動車整備士|職業情報提供サイト job tag(厚生労働省)

整備士人口の高齢化

整備士の平均年齢は上昇を続けており、現場の高齢化が進んでいます。

日本自動車整備振興会連合会の令和7年度調査によると、整備要員の平均年齢は47.7歳でした。

業態別では専業工場が53.0歳、ディーラーが37.9歳となっており、働く場所によって年齢構成に大きな差があります。

国土交通省の資料では、整備要員の平均年齢は20年で7.5歳上昇したとされており、若手が入らないまま在籍者だけが年齢を重ねている構図が見て取れます。

数年後の退職を見据えると、採用は先送りできない課題です。

参考:自動車特定整備業実態調査(日本自動車整備振興会連合会)

参考:令和7年度 自動車特定整備業実態調査 調査結果(日本自動車整備振興会連合会)

養成施設の入学者数の減少

整備士の主な供給源である養成施設への入学者数も減り続けています。

国土交通省の資料によれば、自動車整備専門学校の入学者数は20年で半減しており、若手の母数そのものが縮小しています。

背景にあるのは、少子化に加えて職業選択が多様化し、整備士を志す若者そのものが減っていることです。

新卒採用だけに頼る計画では、そもそも母集団を確保しにくい状況だと理解しておく必要があります。

参考:自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組(国土交通省)

技術を身につけたベテランが独立して離職してしまう

採用難は、入口だけの問題ではありません。

整備士は資格と経験を積むほど独立の選択肢を持ちやすく、技術を身につけたベテランが自ら工場を構えて離職するケースもあります。

独立は本人にとって前向きな選択である一方、送り出す側は中核人材と教育役を同時に失うことになります。

採用計画を立てる際は、退職だけでなく独立による流出も見込んでおくことが現実的でしょう。

整備士の採用が難しい理由

採用難の理由は、業界全体の構造に起因するものと、自社で改善できるものに分かれます。

両者を切り分けることで、限られた時間と予算をどこに使うべきかが見えてきます。

主な理由は、以下のとおりです。

  • 若者の車離れと志望者の減少
  • 3Kイメージと労働環境
  • 自動車の高度化による「求められるスキルの上昇」
  • 他業種との人材獲得競争
  • 給与・待遇の伝わりにくさ
  • キャリアパスの不透明さ

それぞれ順番に見ていきましょう。

整備士の採用活動で難しいと感じることは何ですか?(複数回答可)

モビリア総合研究所が整備士の採用に関わる100名に実施した独自調査(複数回答可)では、難しいと感じることとして有資格者・経験者からの応募が少ないが51.0%で最も多く挙げられました。

次いで応募そのものが集まらないが41.0%、求める給与・待遇の条件が合わないが37.0%と続いています。

一方で採用してもすぐに辞めてしまうは14.0%にとどまり、定着より入口の課題を挙げる企業が目立ちました。

有資格者に絞った募集では母集団を確保しにくい状況がうかがえます。

若者の車離れと志望者の減少

整備士を目指す若者そのものが減少傾向にあります。

国土交通省は、その背景として少子化や職業選択の多様化を挙げています。

自動車整備学校の入学者数も長期的に減少しており、新卒採用だけで十分な母集団を確保するのは容易ではありません。

業界全体の認知向上には時間がかかるため、自社では既存の志望者にどう選ばれるかを考えるほうが現実的です。

3Kイメージと労働環境

整備の仕事には、油で汚れる、力仕事が多い、夏冬の作業環境が厳しいというイメージが根強く残っています。

実際には設備の改善が進み、工場の環境は以前より整ってきました。

しかし求人票や採用サイトでその変化を伝えていなければ、古いイメージのまま敬遠されてしまいます。

職場環境を改善したのであれば、その事実を発信するところまでが採用活動です。

自動車の高度化による「求められるスキルの上昇」

近年の車両は、先進運転支援システムや電動化技術の普及により、整備の難易度が上がっています。

外観からは判断できない電子制御の診断が増え、スキャンツールの扱いや電気の知識が欠かせなくなりました。

その結果、即戦力として求める技術水準が上がり、条件に合う経験者がさらに限られる状況が生まれています。

求める要件を高く設定しすぎていないか、育成前提に切り替えられないかを検討する余地があります。

他業種との人材獲得競争

整備士の資格を持つ人材が、必ずしも整備業界に留まるとは限りません。

機械や電気の知識は製造業や設備保全でも評価され、他業種へ流れる例があります。

労働時間や休日、給与水準で見劣りすれば、比較の段階で候補に残れません。

競合はもはや近隣の整備工場だけではないという前提で、条件を見直す必要があります。

給与・待遇の伝わりにくさ

整備士の給与は、資格手当や残業代を含めた総額で決まる場合が多く、求人票の基本給だけでは実態が伝わりません。

同じ日本自動車整備振興会連合会の令和7年度調査では、整備要員の平均年収は442万8900円で前年度より4.0%増加し、ディーラーでは535万1200円となっています。

待遇を改善していても、伝え方が不十分であれば応募には結びつきません。

給与額に加えて、内訳や昇給の道筋まで具体的に示すことが重要です。

参考:自動車特定整備業実態調査(日本自動車整備振興会連合会)

キャリアパスの不透明さ

入社後にどう成長し、収入がどう上がるのかが見えないことも、応募をためらわせる要因です。

2級から1級へ、あるいは検査員や工場長へと進む道筋が示されていなければ、長く働く姿を想像できません。

独立を志向する整備士もいるため、その希望を受け止める姿勢を見せられるかどうかも分かれ目になります。

将来像を提示できる工場は、それだけで比較検討の土俵に乗りやすくなります。

応募が集まらない求人票の見直しポイント

採用手法を変える前に、まず見直したいのが求人票です。

求職者は複数の工場を横並びで比較しているため、求人票に必要な情報がそろっているかどうかが応募の判断を左右します。

見直したいポイントは、以下のとおりです。

  • 給与は内訳と昇給の道筋まで書く
  • 資格取得支援・工具・設備を明記する
  • 職場の様子を写真や動画で伝える
  • キャリアパスをイメージできる形で明記する

それぞれ順番に見ていきましょう。

給与は内訳と昇給の道筋まで書く

給与欄に総額のレンジだけを書くと、求職者は自分がどこに当てはまるのか判断できません。

基本給、資格手当、残業代の目安を分けて示し、何をすれば上がるのかまで書きましょう。

2級取得で手当がいくら増えるか、検査員になるとどう変わるかを具体的に書けば、将来の収入を計算できます。

金額の大小以上に重要なのは、算出根拠が明確であることです。

資格取得支援・工具・設備を明記する

整備士が就業先を選ぶ際、資格取得の支援制度と工具の扱いは大きな判断材料になります。

受験費用の負担、講習日の勤務扱い、工具の貸与や購入補助の有無を明記しましょう。

スキャンツールやリフトなど設備の充実度も、技術を伸ばせる環境かを判断する材料になります。

これらは実際に用意していても書き漏らしやすい項目のため、あらためて確認する価値があります。

職場の様子を写真や動画で伝える

文字情報だけでは、工場の雰囲気や人間関係までは伝わりません。

実際の作業風景、休憩スペース、在籍する整備士の年齢層が分かる写真を掲載しましょう。

先ほど触れた3Kイメージを払拭するうえでも、視覚的な情報は効果的です。

若手が在籍していることが伝われば、同世代の求職者は応募しやすくなります。

キャリアパスをイメージできる形で明記する

入社後の道筋を求人票の段階で示しておくと、長く働く姿を想像してもらいやすくなります。

入社1年目から3年目、5年目に何を任され、どの資格を取るのかをモデルケースとして書きましょう。

後輩指導やリーダーを担うことで収入が上がる仕組みがあれば、その点も明示します。

実在する社員の歩みをそのまま紹介する形であれば、無理なく用意できます。

応募を増やす採用対策

求人票を整えたうえで、次に検討したいのが募集経路の選び方です。

それぞれ費用構造と集まる層が異なるため、採用手法は併用が前提と考えましょう。

主な選択肢は、以下のとおりです。

  • 求人媒体・整備士専門の求人サービス
  • 人材紹介・採用代行
  • 養成施設との関係づくり
  • リファラル採用と未経験・無資格者の採用

それでは、順番に見ていきましょう。

最も応募につながった採用手法を教えてください

同調査で最も応募につながった採用手法を聞くと、業界特化型の求人サイトが39.0%で最多となりました。

次いで転職エージェントが28.0%、知人・紹介(リファラル)が11.0%と続いています。

これに対し総合型の求人サイトは7.0%、ハローワークは6.0%にとどまりました。

今回の調査では、幅広い層に向けた媒体よりも、整備士に絞った採用経路のほうが応募につながったという回答が多くなりました。

求人媒体・整備士専門の求人サービス

求人媒体は広く募集をかけられる、最も一般的な方法です。

総合媒体は母集団を集めやすい一方、整備士以外の閲覧も多く、条件に合う応募は限られます。

整備士に特化した求人サービスであれば、資格や経験を持つ層に直接届きやすくなります。

採用したい層が明確なら、特化型を軸に据えるほうが効率的です。

手法費用の考え方向いているケース
総合求人媒体掲載課金・クリック課金など媒体により異なる未経験も含め幅広く集めたい
整備士特化の求人サービス掲載課金または成果報酬有資格者・経験者を狙いたい
人材紹介成功報酬型が一般的急いで即戦力を確保したい
採用代行月額費用・業務委託費採用実務に人手を割けない

人材紹介・採用代行

人材紹介は、採用が決まった時点で費用が発生する成功報酬型が一般的です。

初期費用を抑えられる反面、1人あたりの単価は高くなる傾向があります。

採用代行は、求人票の作成や応募者対応を外部に委ねる仕組みで、実務に人手を割けない工場に向いています。

どちらも自社の工数と予算を照らし合わせ、採用単価に見合うかを判断しましょう。

養成施設との関係づくり

新卒を安定的に採用したいのであれば、養成施設との関係づくりが有効です。

求人票を送るだけでなく、インターンシップの受け入れや職場見学の実施まで踏み込みましょう。

学生と接点を持つことで、規模の大きい企業に流れがちな層にも自社を知ってもらえます。

成果が出るまで時間はかかりますが、継続することで中長期的な採用経路になり得ます。

リファラル採用と未経験・無資格者の採用

在籍する整備士からの紹介は、費用を抑えつつ職場に馴染みやすい人材を採用できる方法です。

紹介した社員に手当を出す制度を整えると、協力を得やすくなります。

あわせて、未経験者や無資格者を採用して育てる選択肢も検討してみましょう。

有資格者だけを狙い続けるより、応募対象となる層を広げられます。

採用後の定着率を高める取り組み

採用できても離職が続けば、人手不足は解消しません。

そのため、採用と定着は一体で設計する必要があります。

取り組みたい施策は、以下のとおりです。

  • 未経験者を育てる教育体制
  • 資格取得の費用・時間の支援
  • 労働時間と休日の見直し
  • 評価制度とキャリアパスの明示

それぞれ順番に見ていきましょう。

採用した整備士の定着のために取り組んでいることを教えてください(複数回答可)

同調査(複数回答可)で定着のための取り組みを聞くと、資格取得の費用や勉強時間の支援が48.0%で最も多く挙げられました。

未経験者向けの教育・研修体制の整備と給与・賞与の引き上げがいずれも46.0%で続いています。

一方、評価制度やキャリアパスの明確化は24.0%にとどまりました。

育成と待遇への取り組みが先行し、将来像を示す制度づくりは後回しになりやすいことがうかがえます。

未経験者を育てる教育体制

未経験者を採用する場合、育成の仕組みがないまま現場に配属すると早期離職につながります。

教育担当を決め、何をどの順で任せるかを整理しておきましょう。

作業の手順書を用意しておくと、担当者が不在でも学びを止めずに済みます。

その後の定着を大きく左右するのは、最初の数か月をどう支えるかです。

資格取得の費用・時間の支援

整備士にとって資格取得は収入とキャリアに直結するため、支援制度は強い訴求材料になります。

受験料や講習費の負担に加え、勉強時間を確保できる勤務調整まで含めて設計しましょう。

2級から1級へ進む道を会社が後押しする姿勢は、長く働く理由になります。

制度を作ったら、社内で使われているかどうかまで確認することが大切です。

労働時間と休日の見直し

整備業は他業種と比べて労働時間が長い傾向が指摘されてきました。

繁忙期の残業や休日出勤が常態化していないか、まず実態を把握しましょう。

予約の平準化や作業分担の見直しで、改善できる部分は少なくありません。

待遇の数字を変えられない場合でも、時間の使い方には工夫の余地があります。

評価制度とキャリアパスの明示

何を評価されて収入が上がるのかが不明確なままでは、他社と比較されたときに定着につながりにくくなります。

資格の取得、担当できる作業の幅、後輩指導といった項目を評価に組み込みましょう。

スキルアップや後輩の育成に応じて給与が上がる仕組みがあれば、転職しなくても収入が伸びる将来像を示せます。

さらに、将来的に独立やのれん分けを目指せる環境を用意しておけば、独立志向の整備士も自社で経験を積む選択をしやすくなるでしょう。

辞めさせない仕組みではなく、留まる理由をつくる発想が求められます。

よくある質問

そもそも今の市場で整備士を採用できるの?

有効求人倍率が5倍を超える市場である以上、募集を出せば集まる状況ではありません。

ただし、求人票の情報量や採用手法の選び方で結果に差が出るのも事実です。

有資格者に絞らず、未経験者の育成やリファラルまで含めて考えれば、選択肢は広がります。

求人を出しても応募が来ないときは何から見直せばいい?

まずは求人票の給与欄と支援制度の記載を確認しましょう。

総額のレンジしか書いていない場合、内訳と昇給の道筋を追記するだけで反応が変わることがあります。

そのうえで、掲載している媒体が整備士に届いているかを見直す順序が効率的です。

未経験者や無資格者を採用しても戦力になる?

未経験者や無資格者でも整備工場で働くことはでき、実務経験を積みながら整備士資格の取得を目指せます。

一方で認証工場には整備主任者の選任や、有資格者を一定割合以上配置する人員基準があり、必要な人数は認証を受ける整備の範囲によって異なります。

現在の有資格者数を踏まえたうえで、資格取得支援とセットで採用すれば、数年かけて中核人材へ育てることも可能でしょう。

整備士1人を採用するのにかかる費用の目安は?

求人媒体は掲載課金やクリック課金など媒体によって大きく異なり、人材紹介では年収の一定割合が成功報酬として発生します。

金額だけでなく、採用までにかかる期間と自社の工数も含めて比較しましょう。

早期離職が起きれば費用は二重にかかるため、定着施策まで含めた総額で考えることが大切です。

外国人整備士の採用は現実的?

在留資格の特定技能により、自動車整備分野で外国人材を受け入れる制度が整備されています。

受け入れには認証工場であることなど一定の要件があり、生活面の支援体制も欠かせません。

要件と体制を確認したうえでなら、選択肢のひとつとして検討できます。

参考:自動車整備分野における「特定技能」の受入れ(国土交通省)

まとめ|採用と定着を一体で見直して整備士を確保する

整備士の採用が難しい背景には、有効求人倍率の高さ、高齢化、養成施設の入学者減少といった構造的な要因があります。

一方で、求人票の書き方、募集経路の選び方、採用後の育成と評価は、自社で改善できる領域です。

まずは求人票の給与欄と支援制度の記載を見直し、そのうえで整備士に届く募集経路を選ぶ流れが取り組みやすいでしょう。

経験者だけを狙うのが難しい市場だからこそ、育てる前提の採用と、留まる理由をつくる定着施策が有効です。

整備士に特化した求人サービスの活用も含め、自社に合う方法から着手してみてください。

【調査概要】

調査名:自動車整備士の採用における課題と、効果があった採用・定着施策に関する調査

調査主体:モビリア総合研究所(株式会社プロトリオス)

調査対象:自動車整備士の採用に関わる経営者・採用担当者100名(直近3年以内に採用活動を実施)

有効回答数:100/調査方法:インターネット調査/モニター提供元:サクリサ/調査時期:2026年8月

※設問1・設問3は複数回答可のため、割合の合計は100%を超える。

整備士・メカニックなど自動車業界の求人・転職サイト「クラッチ求人」